2019商写協フォーラムが『成長戦略 ー儲けるための三本の矢ー 』をテーマに大阪会場(2019/1/24、 大阪国際会議場 12F 特別会議場)と東京会場(2019/2/4、御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンター 2F sola city Hall)で開催され、両会場合わせて約320名の商写協会員が参加した。
今回のフォーラムでは、さらなる成長が見込め、利益をもたらせてくれるであろう学校市場に積極的、計画的にチャレンジしていくための『成長戦略』がテーマに掲げられた。少子化、過当競争、異業種参入などで写真業界は予断を許さない状況にある。しかし、プロフェッショナルとしての技術と感性、これまで培ってきたノウハウの整理や見直しで、さらなる成長を生み出し、より儲けることが可能になる。そのための、<技術><営業><商品開発>を“三本の矢” にたとえ、強靭な武器として活かしていくための提案と講義が展開された。
また、今年度は商写協地区事業の一環として、東北・九州・北海道の3地区でもフォーラムが開催された。
開催にあたり、佐藤泰博会長は「新しい価値観を持って変革していかなくてはならない。今年の商写協のテーマでもある『バリューイノベーション』だ。過去を学び、現在を知り、未来を創造していくことが重要だ」と語り、ダイコロ株式会社の松本秀作社長は「利益を上げる方法は3つしかない。たくさん売ること。単価を上げること。だが、もうひとつの『効率を上げる』ということが、今後、より重要になってくる」と語った。
日本商業写真家協会
会長
佐藤泰博
ダイコロ(株)
代表取締役社長
松本秀作
協同組合
大阪写真家協会
理事長
杉本彩二郎
(一社)
日本写真文化協会
副会長
八木善生
近畿写真師連合会
会長
宮本博文
日本商業写真家協会
関東地区運営委員
磯裕文
(一社)日本写真文化協会
会長 堀恵介
(協)日本写真館協会
理事長 福地憲一
2018 School Album Contest Award Ceremony
日本商業写真家協会
副会長 渡辺和男
2018商写協スクールアルバムコンテストでは、スクールアルバム大賞、シナリオ・肖像・生活・環境・装幀の各部門賞、そして、パーソナルアルバムの部の計51賞(フォトジャパン151号掲載)が選定された。
各会場で授賞式が行われ、受賞アルバムが大きく投影されたスクリーンの前で佐藤会長から賞状と副賞が受賞者それぞれへ授与された。
総評を審査員長の渡辺和男副会長が行い、部門ごとに審査をとおして感じた傾向や印象、評価点を解説し、今後の卒業アルバム制作への期待と課題が語られた。
また、「商写協スクールアルバムコンテストは日本最大の卒業アルバムコンテストなので受賞者の方々は自信を持っていただきたい。卒業アルバムは記録性だけでなく、記憶と思い出の扉を大きく開く大切な宝物になる。皆さんとともに、今まで以上にすばらしい卒業アルバムをつくっていきたい」と語った。
大阪会場
東京会場
【シナリオ・絵コンテの重要性を説く】
大阪・東京会場
北海道札幌市 (有)岡村写真工房セピア
岡村匡
仙台・福岡・札幌会場
茨城県牛久市 (有)吉田写真館
吉田和正
≪一の矢:技術≫では、『アルバム制作術の向上 ~シナリオ・絵コンテの重要性を説く~』というテーマで、大阪・東京会場は北海道札幌市・岡村写真工房セピアの岡村匡氏、仙台・福岡・札幌会場は茨城県牛久市・吉田写真館の吉田和正氏が登壇。
商写協スクールアルバムコンテストで数々の受賞歴を持つ両氏が、これまでの卒業アルバム制作の経験や取り組み方をもとに制作技術とシナリオづくりを語った。
岡村講師は、写真や卒業アルバムが持つ物語性を解説し、「卒業アルバムというとんでもなく重要なものをつくっていることを誇りに思い、良いアルバムをつくるための情熱をもういちど燃やしてほしい。アタックすれば物事は動く」と語り、吉田講師は、自身が取り組んでいる動画を紹介し、「何かをつくり出していくことにチャレンジしていただきたい。やってみることで、気付くこと、得ることは多い。自分の価値観にとらわれずやってみる。ちょっとしたことがきっかけになるとすごく思う」と語った。
【企画書・提案書の必要性と取引ルールづくり】
日本商業写真家協会副会長
(株)渡辺写真館 渡辺和男
日本商業写真家協会副会長
(株)立木写真舘 立木俊太郎
日本商業写真家協会副会長
(有)光陽スタジオ 馬場裕隆
≪二の矢:営業≫では、『学校との折衝と取引のノウハウ ~企画書・提案書の必要性と取引ルールづくり~』というテーマで、福井市・渡辺写真館の渡辺和男氏、徳島市・立木写真舘の立木俊太郎氏、福島県伊達市・光陽スタジオの馬場裕隆氏の商写協副会長3名が順に登壇。
まず、渡辺講師が、学校に営業やプレゼンテーションをする際の企画書や提案書、取引ルールづくりの必要性を少子化、個人情報保護といった時代背景を織り交ぜながら説明した。
続いて、立木講師が、商写協が会員のために制作した『卒業アルバム制作企画書』の具体的な内容や有効活用するためのポイントを解説した。なお、商写協会員はこの企画書の雛型を商写協ホームページからダウンロードすることができる。(※下記参照)
最後に、馬場講師は、自身が作成したオリジナルの企画書で学校とやり取りした際の実例を企画書にこめた思いとともに紹介し、学校と信頼関係を築くことの大切さを訴えた。
【進化する卒業アルバムのパーソナル化に向けて】
Neoが導くパーソナルアルバムへの道
大阪府大阪市
フォトスタジオ虎屋カメラ
杉村昌俊
新商品の提案と今後の展望
日本商業写真家協会副会長
(株)林写真館
林義明
学校市場・写真館ワークフローへの提案
ダイコロ(株)
経営戦略室
難波敏夫
≪三の矢:商品開発≫は、『学校アルバム市場への提案 ~進化する卒業アルバムのパーソナル化に向けて~』というテーマで3つの提案がされた。
まず、「Neoが導くパーソナルアルバムへの道」として、2018商写協スクールアルバムコンテストで【パーソナルアルバムの部:スクールアルバム大賞】【小学校の部:肖像部門・最優秀賞】をダブル受賞した大阪市・フォトスタジオ虎屋カメラの杉村昌俊氏が登壇。自身の撮影スタイルを確立し、『パーソナルアルバムNeo』に至るまでの体験や考え方を杉村流の個人写真撮影法則で切り取った生徒たちの生き生きとした表情を投影しながら紹介した。
次に、「新商品の提案と今後の展望」として、山口県周南市・林写真館の林義明商写協副会長が登壇。今回のフォーラムテーマでもある“儲ける”ために、学校アルバム市場への目線を変えた提案をした。卒園アルバムをつくっていない保育園・認定こども園に目を向け、卒園児だけでなく在園児全員を対象にし、さらに “肖像”に特化した『パーソナル イヤーブック』の試作品を紹介した。少子化問題を解消し、加速するパーソナル化を取り入れ、撮影と編集の効率をも考えた学校アルバム市場への提案 【進化する卒業アルバムのパーソナル化に向けて】合理的な制作方法による商品提案からは今後の新たな展望が伺えた。
最後は、ダイコロの難波敏夫氏が「学校市場・写真館ワークフローへの提案」として、『PhotoSpot』や『パーソナルアルバムNeo』をはじめとする学校向け商品や写真館ビジネスを支えるサービスを提案して締めくくった。
商写協地区事業の一環として、2019年度は、東北地区・仙台会場(2/8、宮城県建設産業会館 1F 大会議室)、九州地区・福岡会場(2/14、福岡国際会議場 413・414中会議室)、北海道地区・札幌会場(3/7、札幌コンベンションセンター 207号会議室)でフォーラムが開催され、各地区の商写協会員が講義を熱心に聴講した。
また、地元でのフォーラム開催を歓迎し、次年度以降の継続開催を希望する声が多数聞かれた。